認知症カフェでブレイン体操!

ブレイントレーナー 水野 恵理子

 

認知症カフェとは?

 

国の支援のもとで地方公共団体や病院が実施している交流会のひとつです。認知症本人やその家族、認知症予防に関心がある方のために、一般人のボランティアや参加者が楽器演奏をしたりフラダンスを披露するなど、癒しの空間を提供しています。また病院の脳神経内科医や医学療法士による認知症・熱中症などの勉強会も行っており、ビデオを視聴しながら勉強したりもします。

認知症カフェは私が住んでいる区だけでも約80カ所あり、超高齢社会を迎えて本当に力を入れているようです。一部の場所では、出席のスタンプを集めるとプレゼントがもらえたり表彰されることもあります。まず家から出て人と交流できるようにするのが一番の認知症対策になるという考えで認知症カフェが運営されているようです。

 

ブレイン体操の取り組み

 

以前勤めていた病院やグループホームで、もともとブレイン体操を指導していましたが、認知症カフェでの参加者の活動は座学が多いとのことで担当者から依頼を頂きました。体を動かせば頭がはっきりした状態になって寝たきり予防にいいので、そして何よりブレイン体操に参加した方々の満足度が高いので取り入れることになったと思います。

 

参加者の反応

 

ブレイン体操をする日が待ち遠しいようで、皆さん喜んでくださっています。夫婦でご参加の旦那さんが認知症で、最初は背中が曲がっていて表情も暗かったのですが、どんどん明るくなり姿勢も良くなりました。前も参加したのを忘れて毎回初めてのようにされながらも、今はひとりでも来ていらっしゃいます。体操が終わると感想もしっかり話してくださり、スタッフの皆さんも確かに変わったと評価しています。

 

認知症予防のための自己管理法

 

健康に関する論文によると、人との交流が長寿の秘訣だそうです。ある認知症カフェでは利用者がお互いになんでも話し合う、単なるおしゃべり会をするところもあるほど、外出して人と会うだけでも元気になるそうです。

そして体の管理ですね。私も65歳であちこち不調がありますが、人に頼らずに生きていく体力を作るのは「私」だから、まずは自分の体と向き合うことが大事です。専門家から体の詰まりを解消する方法や筋肉を強化する方法を正しく学んだり、毎日数回1分運動を行うなど、日頃のメンテナンスが大事だと思います。これは誠意を込めないとできないことですね。形だけではなく心から自分を大切に思い、私はこんな人になると目標を決めて日々実践すると、脳はその目標に向かって元気に働き、認知症予防にも役立つと思います。

 

認知症に対する認識の変化が必要

 

アルツハイマー支援の講演で心に響いた言葉があります。「認知症は一部が壊れていること。だから人間としての尊厳を忘れないでください」

認知症の方の家族が、認知症かどうか分からないことが多くあります。分からないので感情的になるし、認知症のご本人はそれに反発して怒りが出ます。私も義理の母ととても仲が良かったのに、母が認知症になってから感情コントロールができなくなった辛い経験があります。一歩引いて眺められないのは確かに勉強不足だと思います。認知症に対する正しい知識が必要です。その上で、人生の先輩であり私たちの未来の姿である認知症の方を尊重することができます。認知症の人がよく怒るとしたら、それは家族の知識不足でしょう。知恵と礼儀の欠けた世の中になってはいけないと思います。認知症の家族の勉強やストレス解消を支援できる仕組みや社会支援が必要です。ブレイン体操、呼吸、瞑想で感情を切り替える方法を伝えることが、家族のストレス解消に役立てばと思います。