教育の方向性を決める脳教育~第5回グローバルメンタルヘルスセミナー特別インタビュー

福岡で8月5日に行われた第5回グローバルメンタルヘルスセミナー~体力・心力・脳力を育てる脳教育で海外の脳教育適用事例を発表した、ソウル新上渓小学校のキム・ジンヒ教諭にインタビューを行いました。

 

学校には決められた課程があると思いますが、脳教育をどのように適用できますか?

 

身体活動と瞑想は、小学校では朝の授業前や休憩時間などに10分程度活用できます。1~2時間の正規脳教育授業は教育課程で定められている「創意的な裁量活動の時間」を活用します。週1回実施し、学期の初めには脳教育を導入した教育課程を学級または学年対象に組むことができます。また、脳教育は人間性または進路教育に含まれるので、その時間を活用することもあります。

 

中学校は自由学期制があり、週2~4時間を使うことができます。中学校は定められた科目が多いので、普段は脳教育に時間を割くのは難しいけれど、その代わりクラブ活動や「創意的な体験時間」を活用して脳教育を実施します。

 

学校の体育活動と脳教育のブレイン体操の違いは?

 

体育では、ボール運動のような道具を使った運動や陸上運動などの種目にわかれて体育活動が行われていますが、その他の体力管理という単位がありません。この単位の目標は子どもたちの体力を育てることで、自分の体力を測定し、体力を養える計画を立てて実質的に体力を養う単位なので、脳教育の教育内容とも一致します。韓国では中学校の体育の内容の中に瞑想が含まれた検定教科書もあり、自由に適用できます。

 

教育現場で教師の一番の悩みが子どもたちの自己肯定感をどう高めるかということです。この課題の解決法は?

 

自己肯定は、「できる」という自信から生じます。自信を感じるのは、言葉でできることではなく、できないと思っていた限界を超える体験を通して自分への確信、自分を信じる思いが大きくなっていきます。体で体験するのが最も早いです。

 

脳教育では、身体活動を通して限界を超える体験がプログラム化されています。腕立て伏せやHSP Gymという運動をしながら集中力を高め、自分が決めた目標を達成することによって限界を超えることができます。また、脳教育の特徴とも言える各自のプロジェクトは、心に関連する目標や勉強の目標など、自分が決めた目標に挑戦することです。このような体験を重ねると、自信が大きくなります。体験できるようにプログラムが組まれているのが脳教育の大きな長所です。

 

教育は百年の計といいますが、今、世界の教育は正しい方向に向かっていると思いますか?

 

変化のスピードがとても遅いとは思いますが、大きく見ると正しい方向を探して向かっていると思います。韓国にもそのような変化があります。教育改革、革新教育のような動きです。教育の方向性は、競争教育ではなく、個人がもつ可能性、自己肯定感、価値を実現できる教育に向かうべきです。そのような方向性を提示していますが、現実はそれに合っていないので、掛け声で終わっており、変化が現れてはいません。それで、今、過渡期の症状があるのです。よいことは分かっていますが、思い切ってシステムを変えられない、過去の教育制度の中で最大限、子どもたちの自己肯定感を高め、価値を実現し、自信を高めるためになんとかしようと頑張っています。しかし、システムが変わっていない状態、人々の価値観が変わらない状態では、限界があります。脳教育をしていて感じたことは、可能性が見えるということです。本当にこれが正しい方向で、このように変化していけば子どもたちが能力を発揮し、本当に幸せになれるという可能性が多くのケースを通して見え、証明になります。その証明を通して人々も、この方向が合っている、こんな風に変えるべきだ、と共感するようになるのです。大変ですが、希望があります。もっとスピードがついて変化が早くなると思います。韓国の教育こそが競争教育の最前線であり、最も深刻ではないかと思います。韓国の教育で可能性が見えたら、世界の教育モデルになれると思っています。

 

教師のストレスはどう解決しますか?

 

教師も身体活動と瞑想をすべきです。身体活動と瞑想をすると、その日一日のストレスがとれます。しかし、根本的な解決のためには教師としての夢が必要です。私はこんな教師になるという夢や希望、目標がなければ、ただ日々を送っているだけです。その日のストレスは解消できますが、根本的な解決にはなりません。それが解決できないと、ストレスは繰り返されます。教師としての価値と夢、目標をもつと、日々生じるストレスはとても小さなものになります。自分の意識が大きくなり大胆になると、日々のストレスが問題にはなりません。ストレスがたまる原因は、扱いにくい生徒に出会ったときや、難しい業務、他の教師との対立などですが、意識が大きくなると、本物を見る目が生じます。相手の言動に隠れている意味や本心、相手の価値を見出すことによってストレスをはるかに早く回復できる根本的な力が生じるのです。ストレスをなくせるのではなく、ストレスを無視できる力が生じます。そうならない限り、ストレスを解決することはできません。

 

脳教育が学校教育にどのように貢献できますか?

 

脳教育は生徒と教師が抱えているストレスをすばやく解決する効果があります。長期的には人々の価値実現、そして、自分一人ではなく皆に貢献できる人生を選択することが教育の目標になるように方向を定め、人々を目覚めさせるために、脳教育が大きく役立つと思います。教育の真の目標を脳教育は提示しています。誰でも心の中ではそのような目標を持ち、人のためになる人生を送りたいと思っています。心の中にはありますが、その心が目覚めていない人もいれば、その心が目覚めはしたけれど勇気がない人もいます。そんなときに脳教育で純粋さを回復し、心の力が大きくなると、誰でもそのような人生を選択できると思います。脳教育が今の教育を変える大きな力になるのではないかと思っています。

 


ソウル新上渓小学校 キム・ジンヒ教諭