【コラム】教育の変化を夢見る人たちへ

学校教育が変革期を迎えています。日本では長年、一斉授業と偏差値教育が行われてきました。寺子屋での個人指導が基本だった日本の教育は、明治に入って義務教育が始まり、一斉授業が一般的になりました。一斉授業は概して詰め込み教育になりやすく、また基本的に個人学習で同級生たちと協力しあうようなこともありません。さらに戦後、偏差値教育が主流になると、偏差値によってすべてが序列化され、競争社会に拍車をかけました。偏差値の高い大学に行き、一流企業に勤めることが、エリートコースを突き進む順風満帆な人生だと教えられてきたのです。

このように私たちは長い間、競争を中心とした成功のパラダイムの中で、いつも自分と対象を分離して認識する教育を受けてきました。その結果、自分と人は分離している、自分と自然は分離しているという、分離意識を持つようになりました。こうした二分法の世界観と物質主義が私たちの無意識や生き方に大きく影響を与え、競争社会をさらに煽ってきたのです。

教育問題の解決法、意識の大統合

多くの人が教育問題について悩んでいることでしょう。実はその解決法は単純明快です。すべてが分離しているという世界観が問題だったので、すべては一つだという全一的世界観に転換すればよいのです。エゴを手放し、すべてが一つだという全一の視点をもてる簡単な方法があります。それは、自分と自然は一つだと感じることです。エゴというのは本当にしつこいものですが、不思議なことに自然との一体感が得られた瞬間にエゴが簡単にはがれ落ちます。それは知識で理解することではなく、全身の細胞で感じたときに起こります。自分自身が全体の生命エネルギー場と一つになって波打つ自然の一部だと感じる瞬間にエゴの分離意識が自然に消え、「私は自然と一つ」だという大きな覚醒がやってきます。

人が自然と一つだということ、それはある意味、子供でもわかるいたって常識的な話でもあります。問題は、人々がそれを知識として頭でわかっているだけだということです。知識に留まるだけではなく、全身の細胞と感覚で体験することが大切です。本当に自分が自然と一つだと感じるとき、別々だと思っていたすべてが一つにつながる、意識の大きな統合を体験することができます。

意識の大統合を体験しよう

私は今ニュージーランドで、その意識の大きな統合を体験し人生の転機をつくるプロジェクトを進めています。ニュージーランドのアースビレッジは自然そのものになれる場所です。大地を踏みしめて立てば地球の呼吸が感じられ、目を閉じると母なる地球マゴの生命が感じられます。ここには、特別なエネルギーがあります。汚染されていなくてきれいという表現だけではとうてい描写できない、世界のどこへ行っても味わえない爽やかな空気が全身にたっぷり入ってきます。アースビレッジの森の中では、何もせずにただ座って呼吸するだけでもいいでしょう。息を吸うたびに爽やかな空気が肺の奥深く、脳の隅々まで入ってくるのが感じられ、全身の細胞の奥の奥まできれいに掃除し、ヒーリングしてくれる感じがします。

私はそのような現象を「清肺作用」と呼んでいます。肺がきれいに(清肺)なると、心がきれいに(清心)なります。心がきれいになると、脳がきれいに(清脳)なり、人間の存在の根源とつながっている通路である松果体が開きます。大気中の粒子状物質でも肺が傷つきますが、情報から生じる感情のかたまりによっても内臓が傷ついています。「清肺-清心-清脳」の作用で、体だけでなく脳の中の情報も浄化して自分の限界を超え、情報の主、人生の主になります。そして、脳の主として自らの人生を創造し、自分と皆の完成のために生きるようになるのです。

意識を転換する教育、脳教育の力

私たち一人ひとりが選択する生き方が新たな文化をつくり、世界を変化させる力強い力として作用します。究極的には、教育、政治、経済、文化といった全般的な社会システムが変わらなければなりませんが、それには多くの時間と努力が必要です。しかし、個人の意識は今すぐに変えられます。それを助けるのが脳教育です。

脳教育は、人間に本来備わっている「すべては一つ」という意識をもとに、自らの存在価値に気づき、終わりなき省察と自己啓発を通して、自分だけでなく自分の属する社会や国、さらには地球のためになりたいという弘益精神を実践する教育です。これこそが教育の本来の目的であり、現在の教育改革の主な目的である自己肯定感の回復、人間力の向上、融合的な思考も併せ、教育の究極の目的ではないでしょうか。変革期を迎えた教育現場に脳教育が加わることで、より望ましい未来がより早く得られることを願っています。

 

一指李承憲(イルチ イ・スンホン)
脳教育創始者、IBREA(国際脳教育協会)会長
http://ilchi.jp/