中米エルサルバドルで公立学校の約4分の1が脳教育導入~2020年までに全校に拡大へ

主体的に学びながら“生きる力”を身につける方法として注目されている「脳教育」。
脳教育の普及がたいへん進んでいる国の一つが、中米のエルサルバドルです。すでにエルサルバドルの公立学校の約4分の1にあたる1,341校が、教員向けの脳教育研修を実施。2,357名が脳教育トレーナー(脳教育専門教員)として認定されています。政府は、2020年までにすべての学校に脳教育を取り入れる方針です。

エルサルバドルで初めて脳教育が実施されたのは、2011年です。きっかけは同年1月に米ニューヨークの国連本部で開かれたIBREA主催の脳教育セミナー。出席したエルサルバドルの国連大使が脳教育の理念や実績に目をつけ、導入へと動き出しました。

エルサルバドルでは10年以上続いた内戦で政治や経済が混乱。内戦終結後も極度に治安が悪い状態が続き、子どもたちが抱く慢性的な心の不安やストレスが問題になっていました。エルサルバドル政府は、脳教育が子供たちの学力向上とメンタルケアの両方につながるとの期待から、試験的な導入を決めました。

2011年6月から8月までの3か月間、首都サンサルバドル地域の1校で、試験的に脳教育の指導が行われました。プロジェクトに参加した子供39人は、学習能力を示す数値がアップし、自分の感情や生活態度をコントロールする「自己管理能力」も大幅に良くなりました。対人関係も改善し、ストレスの減少が確認されました。

この結果をふまえ、エルサルバドル政府は試験導入を拡大すべく、韓国の政府に支援を要請。韓国政府は財政支援を決め、IBREAとアメリカのIBREA Foundationの協力により、本格的な試験導入が決まりました。また、同時に脳教育を行う人材の育成も始めることになりました。

テストプログラムでは、2012年から13年にかけて4校の生徒140人を対象に脳教育の授業を実施。その結果、小学生は感情コントロール力と自己肯定感などに改善が見られました。中学生も感情コントロール力、自己肯定感、心理的安定感で有意な変化が確認されました。

同時にスタートした脳教育トレーナーの養成プログラムには、4校の教師79人が参加。脳教育5段階にもとづく研修が行われました。研修は好評で、参加者の満足度は5.0点満点中4.9点となりました。

試験導入の後、エルサルバドル教育省は約1,800校の学校で脳教育を教育カリキュラムに採用することを決定。各学校の校長も脳教育研修を受けることになりました。2017年までに2,000人以上の校長や教師がプログラムを履修し、IBREA Foundationから脳教育トレーナーとして認定されました。

エルサルバドル政府は、2020年までにエルサルバドルのすべての学校(6033校)で脳教育の導入を図るとしています。脳教育がエルサルバドルの教師と生徒を変え、教育を変え、社会を変えようとしています。